
お好み焼きといえば、大阪のイメージが強いが、
神戸の粉もん文化もまた、独特なものがある。
具だくさんなお好み焼きなど焼かず、
シンプルな具材で作るお好み焼きは“にくてん”と言って、
下町の日常食として食べられていた。
今は高砂市が“にくてん”をご当地グルメとして売り出しているが、
煮込まれたジャガイモを使うオリジナル性とは別に、
“そばめし”発祥の地、長田あたりに、そのルーツがあるような気がする。
その“にくてん”をたまたま取材先の三田で見つけた。
ほんの一昔前までは、静かな田園風景が広がっていた三田市だが、
道路の整備にともない、大阪、神戸のベッドタウンとして、
ここ数年で人口が飛躍的な伸びを見せている。
ウッディタウンと命名されたニュータウンは、
発展する三田市を象徴する新興住宅地だ。
近代的な街の悲しいところは、食文化の乏しさ。
「かごの屋」「サイゼリア」「バーミアン」「ガスト」・・・。
もう飯を抜こうと覚悟しかかったとき、
目に入ったのが「にくてんや」だった。

ランチメニューを見ると「にくてん定食」があった。
900円とかなりのお値段で、粉もんにご飯は食べ慣れないが、
単品だと損という貧乏性なので、それを注文する。
メニューにあった店の紹介を読むと、
先代は長田の西代でにくてんを焼いていたそうな。
神戸のお好み焼きの決め手として使われる“すじコン”は、
アキレス、エンブレンをミンチにして、コンニャクと長時間煮込んでいるとある。
生地にこれと、天かすをのせて焼くのが長田スタイルだ。
こちらのにくてんは、キャベツもたっぷり入った、バージョン。
パリっと焼かれた表面の香ばしさに、
もちっとした生地の食感、キャベツのシャキシャキ感、
すじコンのコリコリ感が上手く合わさって、気持ちよく食が進む。
この食感の豊富さが、にくてんの大きな特徴だろう。
美味しかったが、気になったのは値段。
単品だと700円だが、にくてんは庶民派の食べ物。
定食900円になると、日常食とはかけ離れる。
長田の相場も知ってる上、
この値段だと他に美味しいものが食べられるからなあ・・・。
変わったものを食べようと思うと
財布に響くのもニュータウンの難儀なところである・・・。
にくてんや 三田ウッディタウンサティー店
住所/兵庫県三田市けやき台1−6−2
電話/0795−64−0566



