投稿日:2007-10-13 Sat

実は私、寺社仏閣マニアでもある。
だから精進料理も好き。
だが、困ったことに精進料理に辿りつくには、
いろんな壁がある。
そもそも食とはいえ、宗教行事の一環だから、
本格的になると、食材を揃えるところから、
行は始まるわけで、基本的に予約が必要。
さらに慈善事業じゃないから(ん!?ホントかなあ・・・)、
申し込みも4〜10名揃わないとかダメだったりする。
従って、ひとりぶらっと食べに行くわけにはいかないのだ。
精進料理を食べる会みたいなサークルをつくろうかな。
で、ある人のブログに、
京都の鞍馬にフリーで食べられそうな店が紹介されていた。
名前は「雍州路(ようしゅうじ)」といい、寺院内の店ではないが、
鞍馬の住職だった人が、開業したらしい。
脱サラならぬ、脱坊主ってワケだな。
行ってみると蕎麦などのメニューもあって、
思ったほど敷居は高くない。
それにしても大勢の客だ。
子供も多く、テーブルに着いたものの、
とても精進料理を食べる雰囲気じゃない。
確かブログには、
精進料理は2階の座敷で食べられるとあった。
店の人に一番安い「花の膳」(2100円)を注文し、
2階へ通してくれるように言うと、困った顔をしている。
HPで見たと言うと、ほかの人が2階へ案内してくれた。
・・・2階は誰もいないじゃないか。
京都では自分の希望をはっきり言わないと、
間違いなく店側のペースで事が運ぶ。

大広間は大きな窓がすべて開き放たれ、
木々の緑が風に揺られ、木漏れ日を波立てている。
気持ちのいい空間だ。
大人数用のお膳に料理が運ばれてきた。
朱塗りの器が精進料理らしくっていい。
白和え、胡麻豆腐、こんにゃくのさしみ、汁物、香の物。
これが定番で並ぶもの。
この日は季節の鉢として、冬瓜のあんかけ、じゅんさいの葛寄せ、
ずいきの梅酢漬けが並んだ。
麦ご飯にはとろろが付いているのがウレシイ。
つまらん蕎麦定食が1000円、1500円する京都で、
この料理、この品数、この料金なら大当たり。
残暑に合わせて、酸味のものをつけたり、
冷たい料理を出したりと、とても元住職と思えぬ取り合わせ。
これも御仏のお導きだったのだろう。
ただし2階で食べなきゃ、絶対に味は半減すると思う・・・。
雍州路
住所/京都市左京区鞍馬本町1074
電話/075−741−2848
営業時間/10:00〜18:00
店休日/毎火曜日
投稿日:2007-10-02 Tue

奈良市の高級住宅街、高畑町のはずれに新薬師寺がある。
平日でも観光客でごった返す薬師寺と違って、
いつも静かな環境でゆっくりできる大好きな寺だ。
唐招提寺に比べれば、随分スケールダウンするものの、
天平の甍はどの寺より美しく思う。
幾分、ませたガキだった私は、
親に連れられて初めてやって来た印象が忘れられず、
中学時代から、何度も足を運ぶようになった。
ここで暮らす大好きな十二神将に会うために。
彼らはずーっと私の心のヒーローだった。
バロム1やレインボーマンのような空想の世界ではなく、
悪いヤツが現れたら、きっと彼らが姿を見せずにやってきて、
こっそり退治してくれるんだ・・・。
そんなことを想いながら、
大人になった今でもこの寺に通っている。
大人になると十二神将以外にも興味が増えてくる。
秋に咲き誇る萩の花なんかも、そんな一つだが、
境内の茂みに隠れるようにある食堂が、
何時も気になってきた。
“火打ち飯”なるメニューに、
ずっと心が動かされていたのだ。
今なら払える1500円も、当時の若造には辛い金額。
十二神将に加え、“火打ち飯”への夢想が加わった。
そうこうしている内に、いつの間にかメニューから、
“火打ち飯”のメニューが消えてしまった・・・。

この夏、久しぶりに十二神将と薄暗い対面した後、
「茗荷そうめん」(550円)をいただこうと、
食堂へ足を向けてみた。
呼び鈴を何度も鳴らすも、一向に返事がない。
寺の人に事情を話し、勝手に食堂へ上がりこんで待っていたら、
料理人らしき年輩の女性がようやく現れた。
食堂は寺の庭に面している。
庭といっても庭園といったイメージとは程遠い。
秋には美しく咲き誇る萩をはじめ、
様々な草木が覆い茂るジャングルのような庭だ。
そんな野趣に富んだ飾り気のない姿も気に入っている。
やがて白と緑の美しい素麺が運ばれた。
ツユに刻み茗荷を入れ、ずずっと口に運ぶ。
いっぱいに広がる香りと清涼感。
すっきりとしたツユが、茗荷の風味を妨げることなく、
美味しい素麺を演出してくれる。
ますます“火打ち飯”への未練が募るではないか。
聞けば二人で錐揉みしていた食堂だったが、
相方が亡くなり、一人ではできなくなったとのこと。
すべてが手づくりということだ。
このツユもお婆ちゃんの真心がこもったもの。
木造の古びた玄関で、年老いた料理人と別れを告げる。
またココに通う理由が増えた。
寒くなってきたら、温かい湯葉そうめんをいただきに来よう。

拝観料、もう少し安くしていただけないだろうか・・・。
新薬師寺 食堂
住所/奈良市高畑福井町1352
電話/0742−22−3763
営業時間/拝観時間は9:00〜17:00
拝観料/大人・大学生600円、中・高生350円、小学生150円
投稿日:2007-09-29 Sat

大阪は堺市の百舌鳥八幡宮に隣接する光明院。
ここには頭痛や中風よけの“頭守地蔵尊”が鎮座する。
本道右手の裏に地蔵堂があり、
覗いてみると斜めに横たわって布団を掛けられた地蔵さん。
手を伸ばして、頭を撫でさせてもらう。
さて、この日はちょうど百舌鳥八幡宮の秋季大祭日。
17基のふとん太鼓が練り歩き、賑やかそのもの。
便乗というわけでもないだろうが、
この寺の入口では、大きな釜で炊き込まれた、
コンニャク(100円)が売られていた。
ひとつもらって、木陰でいただく。
おでん出汁が良く染みてなかなか美味しい。
山門に張り紙があった。
「又、おいしく煮きました。ありがたいコンニャク。
コンニャクはダイエットに、美容に、特に、
光明院のコンニャクは自然食品として、
何十年も皆様によろこんで頂いております(原文ママ)」
なるほど、便乗じゃなかった。
ごちそうさまでした。

光明院
住所/大阪府堺市百舌鳥赤畑町5
電話/072−52−0096
投稿日:2007-07-12 Thu

三重県・桑名の名物に“しぐれ”がある。
ハマグリやアサリを甘辛く炊き込んだ佃煮だが、
これが滅法おいしく、ご飯がいくらでも食べられる。
わさびを載せてお茶漬けなんて、最高だ。
ところが結構、いいお値段。
ハマグリなんて手のひら分も買うと、何千円にもなってしまう。
そんな高級食の代用を果たすお土産が奈良にある。
明日香の橘寺で売っている「明日香志ぐれ」がそれだ。
“しぐれ”と言っても原材料は貝ではない。
肉類が食べられないお坊さんのために、
京麩を使って貝に似せた、いわゆる精進料理なのだ。
さすがに良くできていて、しっかりご飯も進む優れもの。
醤油の香りとしょうがの風味が利いていて、
お茶漬けにしても遜色なし。
値段も500円だったか600円だったか、
覚えてないがそんな程度のものだ。
アサリのしぐれより、ちょこっと安いぐらいかな。

橘寺は聖徳太子誕生の地に、太子自身が建立したと伝わる寺で、
当時の建物はほとんど残っていないものの、
田んぼの真ん中に建つ伽藍の風情が美しく、
明日香でも好きなスポットのひとつ。
聖徳太子35歳像や石造仏二面石など見所も多い。
とは言いつつも、“しぐれ”を買う度に、
拝観料350円払い続けるのはキツいので、
先日受付で「しぐれを買いたいのですが」と言うと、
お金を取らず中に入れてくれた。
京都だったら800%ありえない対応に、
「やっぱり明日香が好きじゃ〜!!!!」と、
叫んだのは言うまでもない。
橘寺
拝観料/350円
住所/奈良県高市郡明日香村橘
電話/0744−54−2026
投稿日:2007-06-28 Thu

精進料理が好きだ。
いや最近目覚めたと言っていいだろう。
素材を生かした繊細な味・・・。
俗人だから化学調味料まみれのB級も好きなんだけど、
たまには目からウロコなものも食べたい。
というわけで国宝の投入堂で有名な三徳山へ出かけた。
投入堂は富士山と同じく、一生に一度登れば十分。
だから今回は、精進料理だけをいただきに行く。
まずは入山料400円を納め、境内に。
山門くぐってすぐに食堂のある皆成院だから、
入山料がもったいないような気がするが、
ここの精進料理自体が安いので、腹を立ててはいけない。
受付で予約している旨を伝えると、個室に通された。
窓には緑がいっぱいだ。
般若湯じゃないけれど、
食前酒に匹敵する山の空気を吸い込もう。

そうこうしているうちに、テーブルに料理がずらりと並ぶ。
煮物盛り合わせ、刺し身コンニャク、山菜のてんぷら、
茶わん蒸し、名物のとうふ、酢の物、あえもの、果物、
つけもの、竹の子の炊き込みご飯、おすまし。
これだけ揃って2000円である。
京都だったら・・・やめておこう。
ヘルシーで淡白なイメージがあるが、
それそれの素材の持つ味が濃厚なので、
意外と舌にも腹にも馴染んでいく。
う〜ん、精進料理で腹いっぱいになったのは、
初めてかもしれない。
おいしゅうございました。
投入堂には参りませんが、こちらは通います♪
三徳山 皆成院
住所/鳥取県東伯郡三朝町三徳1016
電話/0858−43−2882
すべて要予約
投稿日:2007-06-18 Mon

京都のメシ・・・これはとっても難しい。
「せっかくだから京都らしいものを」・・・これが罠である。
見てくればっかり立派な店に引き寄せられ、
またまた見てくればっかりの料理に高額を払わされるのがオチだ。
はっきり言うと、京都では学生街にある飯屋か、
地元の人が入るラーメン屋、カレー屋で食べるのが無難なのだ。
でもせっかく京都に来たのだから・・・。
じゃここは精進料理でも!
と言いたいが、これもまた敷居が高い。
精進料理の性質上の理由なのは分かっているが、
やれ予約が必要だの、やれ4人以上でないとダメだの・・・。
そんな時に使えるのが智積院会館茶寮「ききょう」だ。
精進料理の代表メニューは名物「こんにゃく御膳」(1800円)。
みずみずしいさしみこんにゃく、香り豊かな味噌こんにゃく、煮物、てんぷら・・・。
まさにこんにゃく尽くしだが、ヘルシーでさっぱりいただける。
またうれしいことに、これも名物になっている手づくりザル豆冨付き。
ほかにも精進料理の膳が、1800円からラインナップしている。

ここの特徴は気取りの無い店づくり。
喫茶と軽食メニューもあるから、構えることなく利用できる。
その反面、風情に乏しいと言えないこともないが・・・。
智積院は真言宗智山派の総本山。
長谷川等伯・作の国宝障壁画が有名だが、
四季折々の美しさを楽しめる庭園も必見。
清水寺や三十三間堂にも近く、
ちょっと贅沢な昼食に組み込むには最高の立地である。
ききょう
住所/京都市東山区七条東瓦町964
電話/075−531−0210
営業時間/10:00〜17:00(LO15:45)
店休日/無休
投稿日:2007-06-17 Sun

取材で延暦寺に行き、急に高野山にも行きたくなった。
高野山は何度も行っているが、いずれも龍神や十津川など、
温泉行脚のついでに立ち寄った程度で、じっくり回っていなかった。
仮にも世界遺産なのだから、それではいかんだろうと向かったのだ。
行ったからには旅行気分が出るような食事がしたい。
みやげ物兼業の食堂めしなんて真っ平ゴメン。
そうだ、寺といえば精進料理と思いつき、
さっそく観光協会に駆け込んだが、
予約なしで一人はどの寺も受けてくれないだろうと言う。
そのかわりと紹介されたのが、バス道沿いにある「花菱」という料理屋だった。
なんでも高野山の精進料理を仕出しているとか。
なら気分こそ違うが、同じ精進料理。
文句はあるまいと、立派な店内に入りました。
メニューを見ると精進料理の一番安価なのは三鈷膳。
煮合せ、ごま豆腐、中付、田楽、御飯、味噌汁、食前酒がついて2100円です。
7000円以上のものもありますが、お精進に贅沢はいけません。
こちらをオーダーさせていただきました。
待つこと50分。
さすがはお精進です。
おそらく畑の収穫から、料理を始められたのでしょう。
遅いなどと怒り出しては、無知を晒すこととなります。

後から入ってきた人たちも一通り食事が終わった頃、
ようやく我が膳が運ばれてきました。
きっと他の人たちは、精進料理をオーダーしなかったから、
早く食べ終わることができたのでしょう。
ここまできて精進をいただかないなんて残念なことです。
が、膳をぱっと見たら、なんだか寂しい会席料理に思えました。
そう、器が良すぎるんですね。
ココはやっぱり質素な赤塗りの漆茶器を使って欲しかった。
ひとくち、ふたくちと箸を移動させます。
はっきり言えるのは、よそ様の精進と比べ、味が濃いということでした。
もう少し、じっくり素材の味を堪能したかったところでしょうか。
せっかく畑から料理を始めておられるのですから(推測)。
そういいつつも茄子の田楽と胡麻豆腐はおいしゅうございました。
花菱
住所/和歌山県伊都郡高野町高野山769
電話/0736−56−2236
営業時間/11:00〜19:00
店休日/月2回不定休
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